或る理系大学院生の一生

発達障害かもしれない理系大学院生が何をどう考え社会で生きていくかを綴る記録

研究室で困っている事―読んだ論文の内容を忘れる―

論文をコツコツ読み進めることができない上に、せっかく読んでも論文の内容を忘れてしまうというまたまた致命的な弱点がある。

 

例えば先行研究の論文を読み終えたとしよう。

先行研究の内容と今現在自分が行っている実験の内容をふまえて担当教員とディスカッションをしたい。しかし、先行研究の実験ではどのような条件で実験を行っていたかよく覚えていないためうまくディスカッションが出来ない。ディスカッションの場に先行研究の論文を持って行ってはいるが、持ち前の英語力の低さゆえ欲しい情報にたどり着くまで時間がかかる。

それでもディスカッション時に必要な論文が分かっているならまだ良いのだが、そうでない場合はこういう事になる。

 

「今やっている実験の、条件をAからBに変えたらどうなるか分かる?」

「それは先行研究でもう試されています。結果がどうなるかは忘れました。」

「じゃあ、素材をCからDに変えた場合は?」

「それも先行研究があります。結果がどうなるかは覚えていません。」

 

先行研究での結果を踏まえて自分がどのようなアプローチをかけるべきかを議論できない。

なのでディスカッションも研究が全く先に進まない。

それどころか、せっかく指導教員にディスカッションの時間を取ってもらっているのにこんな会話しか出来ないようでは心象が悪くなってしまう。

 

これは極端な例ではない。自分は2度ほどこれをやったことがある。

(覚えていないだけでもう少しやっているかもしれない)

流石にこれ以上やらかすわけにはいかないと思い、M1の頃はディスカッションの際に読んだ論文を印刷してまとめて持って行くようにしていた。

それでもやはり欲しい情報を見つけるのに時間がかかってしまい、ディスカッションの効率は悪かった。

 

そんな自分もM2になり、遂に自分が読んだ論文を忘れずに管理する方法を編み出すことができた。

厳密にいうと「読んだ論文を忘れない」方法ではなく、「読んだ論文の要点を検索しやすくする」方法であるが。

それは、読んだ論文を逐一ノートに日本語でまとめる事である。

何を当たり前のことを、と思う人もいるかもしれないが自分はここまで来るのに2年かかった。

英語でスラスラ読むことを諦め、日本語で論文を構築し直して紙に残すことにより、目で見てすぐに情報を拾えるようになった。

自分で実験結果に対して考察を付け加える際も、以前読んだ論文を参考にしやすくなった。

また、ノートのページに論文ごとにインデックスを付け、ノートの初めのページに論文の目次を作っておくことでディスカッションの際にも素早く情報が検索できるようになった。

 

とは言え、8ページ程の論文を読みながらノートにまとめるのに2週間ほどかかってしまうのが現状であり、課題は残っている。

しかし、ようやく人並みに論文を活用できるようになったのは喜ばしいことだ。